小さい頃の母の記憶で忘れられないことがいくつかある。小学校低学年の頃、スイミングスクールに通っていた。レッスンのあった日の夜、私はタオルをスイミングスクールに置いてきてしまったことで、母に叱責された。なんでそうなったか記憶にないけど、私は母に髪の毛を引っ張られたりして鼻血が出た場面を覚えている。すぐに取りに行って来いと言われて暗くなったひとけのない道を歩いた。その日は雷が鳴る雨の日だった。赤地に白の小さな水玉のレインコートを着て、怖くて悲しくて泣きながら歩いた。雷が光ると自分に落ちるのではないかと思って、時折りアパートの階段の下などに身を隠したりしながら、なんとかスイミングスクールに辿り着いて「タオルの忘れ物はなかったか」と泣きながらスタッフの方に聞いたのだった。
タオルは無事にあって、とりあえず家に帰れるとホッとした、レモン色で可愛いイルカのキャラクターが描かれたスイミングスクールのタオルと、母にから愛情を感じることができず只々怖い存在であった小さいわたし。
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